文部科学省の組織再編に伴う学校図書館行政に関する要望書

文部科学省の組織再編に伴う学校図書館行政に関する要望書

平成30 年3 月13 日

文部科学大臣 林 芳 正 様

公益社団法人全国学校図書館協議会
理 事 長 設 楽 敬 一

 文部科学省におかれましては、日ごろより学校教育行政の充実・発展へのご努力と当会 へのご協力に対しまして、あらためて敬意と感謝を申しあげます。
 さて、2017 年12 月に閣議決定された文部科学省「平成30 年度機構・定員について(主要事項)」の「総合的な教育改革を推進するための機能強化」において、生涯学習政策局の社会教育課・青少年教育課を改組して、総合教育政策局の地域学習推進課とすることが示されました。このことにより、青少年教育課の読書推進と社会教育課の図書館に関する事 務が地域学習推進課に統合されるとともに、初等中等教育局児童生徒課の学校図書館に関する事務が地域学習推進課へ移管されるなど、図書館行政の大きな組織改編が予定されていると承知しています。こうした図書館や読書活動に関する行政の統合については、学校図書館関係者の中には、図書館行政の一部として学校図書館が扱われることにより、人的 体制や予算の確保が後退することを懸念する声も聞こえてきますが、公共図書館と学校図書館に関する総合的な施策の推進や、公共図書館と学校がこれまで以上に連携した施策の展開が期待できるものです。
 学校図書館の重要性については、学校図書館法の趣旨のほか、次期学習指導要領が示す「主体的・対話的で深い学び」を目指す観点から、学校図書館の活用が今後一層重要となります。
 また、2015 年12 月21 日に出された中央教育審議会答申(「教員の資質能力の向上」「チームとしての学校」「学校と地域の連携・協働」)で示されている「学校と地域の連携・協働」を実現する観点や、「学校における働き方改革に関する緊急対策の策定並びに学校における業務改善及び勤務時間管理等に係る取組の徹底について(通知)」(平成30 年2月9日付け29 文科初第1437 号)で示されている「学校における働き方改革」を進める観点からも、司書教諭の専任化と担当教員や学校司書の配置が必要です。
 こうした視点から、学校図書館の充実・発展に向けて下記のことを要望いたします。


  1. 教育基本法・学校図書館法に基づき、文部科学省が学校図書館に関する教育政策に責任を持つ官庁としてその理念を実現すること、及び学校図書館行政を一層発展させるために引き続き取り組むことを対外的にしっかりと発信することを強く要望します。
  2. 組織改編による成果について、学校図書館の充実を目に見える形で示されることを要望します。
  3. 地域学習推進課において、学校図書館に関する専門的知見と経験を有する職員を配置するとともに、公共図書館との連携を密にする観点から、現在の人的体制よりも後退させることがないように要望します。
  4. 今後も学校図書館充実のための地方交付税措置を継続的に実施するほか、地域の知の拠点としての学校図書館に必要な資料や設備等の充実を強く要望します。
  5. 司書教諭の専任化と学校司書の1 校1 名配置を強く要望します。
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