学校図書館司書教諭講習講義要綱

2009年10月15日
全国学校図書館協議会学校図書館司書教諭講習講義要綱作成委員会制定

学校経営と学校図書館

ねらい

 当科目は、学校教育における学校図書館の果たす役割を明らかにし、その理念・発展過程と課題・教育行政との関わり・学校図書館経営のあり方など、学校図書館全般についての基本的理解を目ざす。また、教師として、学校図書館経営の責任者としての司書教諭の任務と担うべき役割とを明確にし、校内の協力体制作り、司書教諭としての研修の重要性にふれる。さらに、学校図書館メディア・学校図書館活動・他の館種を含めた図書館ネットワーク等についての基本的理解を図る。
 この科目は、講義科目全体の総論的性格を持つため、実務的な内容は最小限に抑え、他の各科目との関連に留意する。可能なかぎり今日の学校教育の諸課題をふまえ、学校図書館の教育的意義及び司書教諭の果たすべき任務を明らかにし、意欲的・創造的な活動を促す学習内容とする。

内 容

Ⅰ.学校図書館の理念と教育的意義
  1. 学校教育の意義と理念
  2. 現代学校教育における学校図書館の位置づけ
  3. 学校図書館の役割
  4. 生涯学習社会・知識基盤社会と学校図書館
  5. 日本の学校図書館の発展と課題
  6. 図書館の世界における学校図書館
  7. 学校図書館の国際的な動向と将来展望
Ⅱ.教育行政と学校図書館
  1. 学校教育法と学校図書館法
  2. 社会教育法・図書館法と学校図書館
  3. 教育サービスとしての学校図書館施策
  4. 図書館ネットワークの理念と学校図書館
Ⅲ.学校図書館の経営
  1. 学校経営組織における学校図書館
  2. 学校図書館の組織と運営
  3. 学校図書館の経営要素
  4. 学校図書館におけるマネジメント・サイクル
  5. 学校図書館プログラムとその評価
  6. 学校図書館環境のあり方とその整備
  7. 情報ネットワークの中の学校図書館
Ⅳ.司書教諭の任務と職務
  1. 司書教諭の任務と役割
  2. 学校内の協力体制と司書教諭の職務
  3. 司書教諭の養成と研修
Ⅴ.学校図書館メディアの構成と管理
  1. 学校図書館メディアの教育的意義
  2. 学校図書館メディアの内容と構成
  3. 学校図書館メディアの選択と収集
  4. 学校図書館メディアの管理と提供
Ⅵ.学校図書館活動
  1. 学校図書館活動の対象と領域
  2. 学校図書館活動の内容と方法
  3. 学校図書館活動の拡大

学校図書館メディアの構成

ねらい

 当科目は、学校図書館メディアの構成に関する理解および実務能力の育成を目ざしながら、学校図書館メディアの専門職である司書教諭としての基本的な知識を獲得することを目的とする。
 まず高度情報社会における学習環境の変化にともなうメディアの教育的意義と役割について論じ、同時に各種メディアの種類と特性を説明する。
さらにはよりすぐれた学校図書館メディアの構築のために適正な資料・情報の選択と収集・提供を目ざし、多様なメディアの評価を行う能力を獲得する。また学校図書館メディアの維持と発展とを支えるものとして、司書教諭は、選択・収集・更新・廃棄の基準を策定し実行する能力を身につける。
 メディアの組織化に関しては、その目的・意義とプロセスを理解したうえで、将来の学校図書館の当分野における新しい展開と方向性を見定めながら講義を展開し、必要に応じて演習や実習を行う。

内 容

Ⅰ.高度情報社会における学校図書館メディア
  1. 学校図書館におけるメディアの教育的意義と役割
  2. 学習環境の変化と学校図書館メディア
Ⅱ.学校図書館におけるメディアの種類と特性
  1. 学校図書館メディアの種類
  2. 学校図書館メディアの特性と学習への活用(教材論を含む)
Ⅲ.学校図書館メディアの構築
  1. 学校図書館メディアの構築の基本
    1) 図書館業務の基本
    2) コレクション構築の方法
    3) 学校教育の下位概念としての学校図書館
  2. 学校図書館メディアの選択と収集方針(評価方法を含む)
    1) 学校図書館図書標準
    2) 選択と収集
  3. 学校図書館メディアの選択のための情報源
  4. 情報ファイル資料の構築
  5. 学校図書館メディアの維持と発展(更新・廃棄を含む)
Ⅳ.学校図書館メディアの組織化の意義と展開
  1. 学校図書館メディアの組織化の意義とプロセス(デジタルネットワーク情報資源を含む)
  2. 学校図書館メディアの配架
  3. 学校図書館メディアの組織化の新しい展開
    1) カード目録からコンピュータ目録へ
    2) 地域総合目録と相互協力
    3) 全国総合目録
Ⅴ.学校図書館メディアの組織化の実際
  1. 学校図書館メディアの目録
    1) 目録の意義と機能(典拠コントロール機能を含む)
    2) 調べ学習と目録
    3) 目録の構成と種類
    4) 現在のコンピュータ目録
  2. 学校図書館メディアの目録法
    1) 学校図書館の目録政策、目録作業、目録の水準
    2) 学校図書館のための目録[規則]
    3) MARCの利用、OPACからのダウンロード
  3. 学校図書館メディアの主題索引法
    1) 学校図書館メディアの主題索引
    2) 学校図書館メディアの分類法
      分類の意義と機能、分類表の特性と構成、分類作業など
    3) 学校図書館メディアの件名標目法
      件名目録の特性と件名標目、学校図書館のための件名標目表、件名作業など
Ⅵ.特別な支援を要する児童生徒と学校図書館メディア
  1. 視覚や聴覚などの障害のある児童生徒への支援
  2. 学習障害のある児童生徒への支援
  3. 日本語を母語としない児童生徒への支援

学習指導と学校図書館

ねらい

 現在、持続可能な社会を担う次世代市民としての児童生徒は、知識基盤社会・高度情報通信社会において、多様な現代的諸課題に関する知識・概念やリテラシー、スキルを持ち、多様な課題に立ち向かう学習への意欲や行動力が求められている。
 学校図書館は、学校教育において、次世代市民としての児童生徒に対して、自ら問題意識を持ち、さまざまな情報やメディアを選択・活用することによって、主体的に学び暮らし、究めることができる人間に育てるためのセンターである。
 学校図書館は、他の館種の図書館とは異なり、読書センター及び学習・情報センターとしての機能を有し、教科・領域等と連携・協働して児童生徒の学習指導の展開や学習活動を支え、学校における教育目標を達成するという重要な役割を持っている。
 学校図書館を活用した学習が、効果的かつ積極的に行われるためには、学習目的に合った情報メディアを選択・収集し、活用し、研究調査した結果をまとめて発表する能力、即ち広義の情報活用能力が一定の計画のもとに育成されなければならない。
 当科目では、学習指導と学校図書館との関わりを軸に、児童生徒の情報活用能力育成のための指導の基本と実際を扱うとともに、その指導に当たる教職員等に対する情報サービスや授業支援のあり方について取り上げる。

内 容

Ⅰ.持続可能な社会のための学びと学校図書館の役割
  1. 多様な現代的諸課題に応える学びの必要性
  2. 教科・領域等を超えてつながる学びを創造する学校教育
  3. これからの学びを支える学校図書館の役割
Ⅱ.学校教育カリキュラムと学校図書館
  1. カリキュラム編成と学校図書館
  2. 学習・情報センターとしての学校図書館
  3. 学習指導の展開と学校図書館
  4. 主体的な学びと学校図書館メディア
Ⅲ.主体的学習と情報活用能力の育成
  1. 情報活用能力育成の意義と目的
  2. 課題解決と情報探索プロセス
  3. 情報活用能力育成のための指導内容
  4. 図書館利用指導から情報活用能力の育成へ
Ⅳ.情報活用能力育成の計画と方法
  1. 計画作成のための基本原則と条件
  2. 計画の作成
  3. 指導内容の体系化
  4. 指導方法(特設時間設定、融合授業、個別方式を含む)
  5. 計画の評価
Ⅴ.学校図書館における情報サービス
  1. 情報サービスとは何か
  2. 学校における情報サービス(レファレンス・ツールの整備を含む)
  3. 学校における情報サービスの実際
  4. ネットワーク情報源の活用
Ⅵ.教職員に対する支援と働きかけ
  1. 学習支援と司書教諭の役割
  2. 教科学習における支援
  3. 総合的な学習の時間における支援
  4. 特別活動・道徳における支援
  5. 特別な支援を要する児童生徒、帰国児童生徒・外国籍児童生徒への支援
  6. 多様な教育方法及び評価方法等への支援

読書と豊かな人間性

ねらい

 生涯学習社会と呼ばれる今日の社会において、子どもの生涯にわたる読書習慣を形成し、豊かな人間性を育むためには、初期の段階からの読書教育が重要である。
 当科目では、児童生徒の発達段階に応じた読書教育のあり方について論じる。また、子どもの読書実態に基づいた読書指導や、子どもと図書を結びつけ、読書習慣を形成するための方法や技能について、理解を図る。さらに、全校の教職員、保護者、地域社会に、子どもの読書活動への参加を促し、その活動を支援する司書教諭の役割と責務について、より具体的な理解を図る。

内 容

Ⅰ.読書指導と読書教育
  1. 読書の意義
  2. 読書指導の系譜
  3. 読書指導と学校図書館
Ⅱ.子どもの読書環境
  1. 子どもの読書実態
  2. 学校図書館・公共図書館の現状
  3. 子ども読書活動の推進
Ⅲ.多様な読書資料
  1. 児童・YA資料の出版動向
  2. 読書資料の種類と特性
  3. 読書資料の選択
Ⅳ.発達段階に応じた読書指導
  1. 読書力の発達
  2. 小学校期の読書とその指導
  3. 中学・高校期の読書とその指導
Ⅴ.子どもと本を結ぶための方法
  1. 読書環境の整備
  2. 読書材の提供
  3. 本の紹介
  4. 本の世界の共有
  5. 読書体験の表現と交流
  6. 読書機会の創出
Ⅵ.読書指導の実際
  1. 集団的指導と個別的指導
  2. 教科等における読書指導
  3. 総合的な学習の時間における読書指導
  4. 特別活動における読書指導
  5. 個別的な読書指導
  6. 特別な支援を要する児童生徒への読書指導
  7. 地域との連携による読書指導
Ⅶ.読書活動の推進と司書教諭
  1. 学校経営と読書教育
  2. 読書活動推進計画と司書教諭の役割
  3. 教科担任及び学級担任等との連携
  4. 家庭との連携
  5. ボランティアとの連携
Ⅷ.地域社会との連携
  1. 学校図書館・公共図書館との連携
  2. 生涯学習施設等との連携
  3. 家庭文庫・地域文庫との連携

情報メディアの活用

ねらい

 現代社会は知識基盤社会へ変わりつつあり、そこで生きていく人間にとって生涯学習はますます不可欠なものとなる。情報化の進展により、生涯学習の機会がさまざまな情報メディアによって与えられるようになれば、情報リテラシーを持たない人間は学習の機会を失うことになる。学校教育はそのための基本的な学習指導を積極的に行うべきである。
 一方、教育へのICTの導入は積極的に進められており、情報やメディアの活用による効果的な授業展開をはじめ、種々の教育活動におけるより積極的な応用が求められている。
 メディア・センターとしての機能を担う現代の学校図書館には、教員に対する情報や情報メディア活用の支援機能や、情報活用能力育成のための教育を支援する機能が期待されている。このような機能・役割を果たすために、司書教諭にはメディアの専門家としての役割が求められており、多様な情報メディアに関する知識やその運用に関する知識・技能を深めることが要求される。
 当科目では、他の司書教諭講習各科目で取り上げられる事項も補いつつ、学校や学校図書館で用いられる情報メディアのうち、とりわけ新しいメディアを中心に、教授=学習という観点からそれらの種類と特性、実際の活用法や事例、情報機器の導入や運用について学ぶ。さらには、情報メディアを活用するにあたり、学校や児童生徒が留意しなければならない、情報メディアがもたらす問題点とその対処に関する知識の習得を目ざす。

内 容

Ⅰ.知識基盤社会と人間
  1. 情報メディアとは何か
  2. 情報メディアの歴史
  3. 知識基盤社会、生涯学習、情報メディア
  4. 学校教育における情報メディアの意義とその活用
Ⅱ.情報メディアの特性と選択
  1. 情報メディアの種類
    1) 社会における情報メディア
    2) 学校教育における情報メディア
  2. 情報メディアの特性
  3. 情報メディアの選択
  4. 機器や設備の管理
Ⅲ.情報メディアの教育利用
  1. コンピュータ
    1) アプリケーション・ソフトウェア
    2) 教育用ソフトウェア
    3) コンピュータの周辺機器
  2. インターネット
    1) さまざまなサービスとその仕組み
    2) 検索
  3. その他の情報機器(携帯電話を含む)
  4. 情報メディアを活用した学校図書館運営
Ⅳ.情報メディアの活用事例
  1. 授業におけるコンテンツの活用
  2. 授業におけるICTの活用
  3. 学校図書館ホームページの活用
  4. 司書教諭と他の分掌との連携
  5. 特別な支援を要する児童生徒への活用
Ⅴ.情報メディアと児童生徒の保護・支援
  1. 情報メディアの活用と知的財産権
  2. 自己防衛(情報モラルと個人情報保護)
  3. 情報メディアに関わるトラブルとその対策
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