図書整理ボランティア(第1回・第2回)報告

図書整理ボランティア(第1回・第2回) 報告

(社)全国学校図書館協議会震災対応委員会
委員長 対崎 奈美子

 社団法人全国学校図書館協議会(以下、全国SLA)震災対応委員会は、7月9日に「塙保己一翁・夢プロジェクト」(社団法人こだま青年会議所との共催)として、全国SLAの調査で図書寄贈の希望があった岩手県・宮城県・福島県の計132校に約4万冊の図書を寄贈しました。
 震災以降、被災地の学校には様々な個人・団体から善意の図書が寄贈されていますが、忙しい現地ではその図書の整理(組織化)がなかなかできずに、苦慮しているという声を多数お聞きしました。そこで全国SLA震災対応委員会では、寄贈した図書の整理を行うボランティアを派遣することにしました。当会ホームページ上でボランティアを募集し、図書を寄贈した132校に図書整理ボランティア希望の有無を問い合わせました。

 第1回【8月20日(土)~22日(月)】は福島県いわき市立久ノ浜第二小学校(いわき市立郷ヶ丘小学校に移転中)、宮城県仙台市立東仙台小学校、同仙台市立中野小学校(仙台市立中野栄小学校に移転中)の計3校に7名のボランティアと2名の全国SLAスタッフが訪問し図書の整理を行いました。第2回【8月26日(金)~28日(日)】は、福島県郡山市立河内小学校に11名のボランティアと2名の全国SLAスタッフが訪問し、同校及び原子力発電所事故による全村避難で同校に移転中の福島県川内村立川内小学校、近隣の郡山市立逢瀬中学校、同じく同中学校に移転中の川内村立川内中学校、計4校分の図書を整理しました。

 移転先の普通教室を図書館代わりにしているところ、廊下や階段踊り場を利用し本を並べているところ、蔵書印も台帳(図書原簿)も流されてとりあえず段ボールに図書を並べてあったところなど、学校によりその状況は様々だったため、学校側がどのような作業を必要としているのか、事前の聞き取り調査に加えその場でも立ち会っていただいた先生と相談しながら作業を進めました。図書を分類し、ラベルやシールを貼り、データベースに登録をし、時間に余裕があればブックコートを掛け、図書を配架するところまで、ボランティアの皆さんの精力的な活動のおかげで予定以上の作業を終えることができました。作業に使用したラベルやラベルキーパー等は、学校で普段使用しているものを事前に聞いて持参しました。全国SLAで購入したものもありますが、ホームページ上で寄贈を呼びかけたところ全国から多くの寄贈をいただき、大変助かりました。お礼申し上げます。
 震災後初のボランティア派遣、また限られた時間の中での作業であり、不備な点も多々あったかと思いますが、お忙しい中快く対応してくださった学校の先生がたにお礼申し上げます。少しでも手助けになれたなら幸いです。また、東北や関東地方、遠くは中国・九州地方から集まりすばらしい活躍をしてくださったボランティアの皆さんにも、心よりお礼申し上げます。

 作業内容の関係上、募集するボランティアは学校図書館や図書館での図書整理の経験者としました。現職の司書教諭や学校司書の方々が中心になることが予想されたため、土日を中心とした日程で募集しましたが、土日では受け入れに対応できないという学校が多くあり、結果として希望した学校の一部にしかボランティアを派遣することができず、大きな課題として残りました。また、東日本大震災の被災地域は実に広範にわたっており、限られた日程の中では移動時間が確保できず行けなかった学校も多くありました。
 課題も見えた今回のボランティア派遣ではありましたが、現地の学校の先生がたから、「ストレスを抱えた子どもたちにとって、本に親しむことは大きな癒しになる」「休み明けにたくさんの本を見て子どもたちは大喜びするでしょう」「さっそく学習活動に活用します」といった声をいただけたことは大きな収穫であり、ボランティアスタッフ一同、"来たかいがあった"と充実感も味わうことができました。 今回派遣できなかった学校には、秋以降、あらためてボランティアを募集し派遣を行う予定ですが、今回の反省をいかし、ボランティアが集まりやすく学校も受け入れやすいボランティア団の構成、募集方法、日程設定などを考えたいと思います。詳細が決まりましたら当会ホームページ上で募集しますので、多数のご参加をぜひお願いいたします。

【第1回の様子】
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【第2回の様子】
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