教えて先輩Q&A-分類について〈分類の疑問、あれこれ〉

bn-bunrui.jpg
テーマ別記事一覧 (タイトルをクリックするとその記事に飛びます)
分類の疑問、あれこれ
NDC新版刊行に伴う分類記号変更   ・奥付の分類記号をそのまま使ってよい?
小学校の分類は2桁?、3桁?   ・すべての図書を3桁に直すのは大変...
分類表の字下げ   ・長い分類記号   ・分類番号? 分類記号?
図書記号をどう決める?   ・日本十進分類法(NDC)新訂10版を使うメリットは?
蔵書管理システムを導入。今までの分類でいい? 
「日本十進分類法」の読み方は? 法?表?  


Q.gif 分類記号を変更する場合、なるべく手間のかからない方法は?
今までの図書を全部、変更しなくてはなりませんか?

⇒ANSWER⇒⇒⇒
 NDC10版が刊行されたことにより、分類記号の変更作業をどのように行うかという声が聞かれます。例えば「点字」や「手話」の図書を3類に分類していたが、8類にすべて変更し、配架し直さなくてはならないか?などが一例です。
 基本的には今までの図書はそのままにし、新規購入分から新しい分類記号で配架する方法で処理します。2か所に分かれますので、上記の例で言えば、3類の「点字」「手話」の書架に"801(点字、手話)も見よ"、8類の書架にも"378(点字、手話)も見よ"の掲示をします。変更する図書が少ない冊数の場合は、新分類に直して配架する方がよいでしょう。
 NDC10版については、日本図書館協会(JLA)のwebサイトの分類委員会のページに、改訂箇所一覧や正誤表が掲載されていますので参考にしてください。
→このページのトップへ
→「教えて先輩」トップへ



Q.gif 分類記号が奥付に記載されている場合
記載のままの分類記号で分類してしまってよいですか?

⇒ANSWER⇒⇒⇒
 まずは、奥付とは図書の末尾にある、その著者、発行者、発行所、印刷者、発行年月日、定価、ISBN等を記載した部分です。その奥付に、分類記号が付されているかいないかは、児童書か一般向け図書かによるところが大きく、おおむね児童書に多く分類記号が付されています。
 奥付に記載されている分類記号は出版社が独自に付しているものですので、自校の学校図書館の分類に合致しない可能性があります。図書の内容をよく読んで、分類記号を決定することをお勧めします。
 余談ですが、奥付に記載する項目については、かつては法律で義務化されていた時代もあったようです。しかし、現在は特に決まり等はなく、習慣的に記載してきた項目が記載されています。
→このページのトップへ
→「教えて先輩」トップへ



Q.gif 小学校の学校図書館の分類
2桁と3桁、どちらがよいのでしょう?

⇒ANSWER⇒⇒⇒
 子どもたちは、段階を踏んで教えればNDC3桁(1000区分)で分類してある図書館で自分で図書を探せるようになります。現在使われている国語の教科書に、「ラベルに書かれた3桁の数字を手がかりにしましょう」という説明がありますし、3桁でなければ、書架の中に図書が細かく分類されて並びません。それでは返って探索が難しくなってしまいます。
 将来中学校の図書館や公共図書館で必要な資料を自分で探索するためにも、小学校も3桁で分類することをお勧めします。その指導に役立つのが、『学びかた指導のワークシート』(全国SLA刊)です。分類はもちろん、資料の探索や利活用の力を、段階的につけさせることができるワークシート集です。
→このページのトップへ
→「教えて先輩」トップへ



Q.gif すべての図書を3桁に直すのは大変...
分類は3桁に直さなくてはならないのでしょうか? 2桁のラベルを一人で全部貼り変えるのは大変です。

⇒ANSWER⇒⇒⇒
分類は同じ主題の図書が一か所に集まることを目的としていますので2桁では一か所に集まりません。具体的に例を挙げると、48で動物学の図書に分類ラベルを貼って書架に配架していると、48の棚には動物も魚も鳥も昆虫も混在することになってしまいます。例えば昆虫の本を探そうとすると棚の端から端まで探してみなければならないでしょう。486に昆虫、487に魚、488に鳥、489に哺乳類の図書が分類されていれば探しやすくなります。
確かに全部いっぺんにラベルを貼り替えるのは大変で、いつ作業をすればよいかと考えてしまいます。まずは、歴史や地理(2類)、自然科学(4類)、芸術・スポーツ(7類)などの、よく利用されるところから順に貼り替え、類ごとに作業を進めていけば図書館を長期に閉めたりすることなく、貼り替えられるでしょう。
→このページのトップへ
→「教えて先輩」トップへ



Q.gif 分類表の字下げ
購入した掲示用の分類表の、項目の文字の頭の位置が揃っていない箇所があります。文字の位置に何か意味があるのでしょうか。

⇒ANSWER⇒⇒⇒
一例を挙げると、
760 音楽
761  音楽の一般理論.音楽学
762  音楽史.各国の音楽
763  楽器.器楽
764  器楽合奏
765  宗教音楽.聖楽
766  劇音楽
767  声楽
768  邦楽 
769 舞踊・バレエ
76の音楽は1~9すべてが音楽に関する項目ではなく、9に舞踏・バレエが入っています。その場合「字上げ」をして、舞踊・バレエが音楽の下位区分ではないことを示しているのです。反対に761から768は「字下げ」をすることで音楽の下位区分であることを示しています。「字上げ」「字下げ」については『日本十進分類法』(9版)の解説ページに記載があります。
 分類表の文字の位置にも意味があると分かると、分類作業の楽しさが増すかもしれませんね。
→このページのトップへ
→「教えて先輩」トップへ



Q.gif 長い分類記号
長い分類記号が付されているものがあります。なぜ長くなるのですか?学校図書館では、何ケタまでが一般的なのですか?

⇒ANSWER⇒⇒⇒
 ある主題を表現し尽くせないとき、分類細目表に付加するための補助的分類表を補助表といい、地理区分、形式区分など6つの種があります。これらを付加することで分類記号が長くなるのです。例えば2類(歴史・地理など)の図書では時代区分が設定されている上に、地理区分や年表(032)、事典(033)などの形式区分を付加する場合などが考えられます。『日本十進分類法』には、分類のケタ数に関する記載はありませんが、一般的には点以下4桁程度までにしているところが多いようです。
 学校図書館の分類の細かさは、蔵書数や校種、専門科の有無などにもよりますが、3桁から5桁(点以下2桁)で、使いやすく蔵書を分類することができます。
→このページのトップへ
→「教えて先輩」トップへ



Q.gif 分類番号? 分類記号?
分類番号と分類記号、どちらが正しいのでしょうか?

⇒ANSWER⇒⇒⇒
 分類番号と書いてある掲示物や記述を見かけますが、正式には「分類記号」です。数字なので番号と言ってしまいがちですが、正しく名称を覚えておきたいものです。『日本十進分類法』新訂9版の解説に、"各分類項目の記号化であり、図書の情報内容を表す記号"と記載があります。
 三段ラベルに
   446
   ア
   1
とあった場合、上段の 446 が分類記号、中段の ア が図書記号、下段の 1 が巻冊記号です。
 図書記号は、主に著者の名前の頭文字にします。著者、作者、編者など責任表示となるもので、監修は図書記号にはしません。その場合は書名の頭文字にします。
 そして、分類記号と図書記号をあわせて、「所在記号」と言います。一般的に「請求記号」と言われてきましたが、10年ほど前から「所在記号」が広く使用されるようになってきました。
→このページのトップへ
→「教えて先輩」トップへ



Q.gif 図書記号をどう決める?
全集・シリーズや複数著者の作品、図書記号はどうすればいいですか?

⇒ANSWER⇒⇒⇒
【全集・シリーズ】
 『日本十進分類法(NDC)新訂10版』の「相関索引・使用法編」のp288~289に図書記号の説明があり、「同一分類記号内の資料の順序付けのため」の記号と定義されています。図書記号付与法として「受入順」、「出版年順」、「著者記号法など」の3つ が示されていますが、学校図書館では同一著者がまとまる著者記号法などが便利です。 全集、シリーズなどは、著者で図書記号をとると、一か所にまとまらなくなるものがあります。
 前述のNDC に「セットものの取り扱い」として記載があり、「集合に対する図書記号」とするように示されていますので、まとめて配架することが望ましいものは、同一分類記号を付し、図書記号を全集名、シリーズ名でとって配架するとよいでしょう。
【複数著者の本】
 複数著者の本については、『日本十進分類法新訂10版』に記載はなく、公共図書館が指針としている『日本目録規則(NCR)1987年版改訂3版』の著者の項目を参照して図書記号を決めている場合が多いと思います。そこには、「主なもしくは最初の1つ」を責任表示とすると示されていますが、NCR2018年版では、「最初に表示された名称を責任表示とする」と改めています。これにより、複数著者の場合、最初の1名でよいと思います。
 しかし、2018年版では、監修者や校閲者も責任表示者となっています。従来それらを責任表示者ではないため、図書記号にとらないとしてきた経緯がありますので、学校図書館の視点で、自校にあったルールを考えればよいのではないでしょうか。 →このページのトップへ
→「教えて先輩」トップへ



Q.gif 日本十進分類法(NDC)新訂10版を使うメリットは?
9版のままでもいいか決めかねています。10版になって良くなった点、変更点などは?

⇒ANSWER⇒⇒⇒
【用語】
 現代の使用に合わせて、用語が新しくなったり追加されたりした部分があります。  たとえば、493.758は「認知症」ですが、9版では「老人精神病:老人性痴呆」でした。医学関係は進展が速いため、分類項目が増えたり用語が変更になったりした箇所が多くあります。
 371.42の教育上の「問題行動」は、具体的なものの1つとして9版では「登校拒否」とありましたが、新訂10版では「不登校[登校拒否]」になりました。さらに「引きこもり」が追加されています。
【分類の変更】
 学問や社会状況の進展、現代の社会の実情に合わせて変わった部分があります。
 手話や点字は378の障害児教育から、801.9「音声によらない伝達」に入りました。点字が801.91、手話が801.92です。最近の言語学を反映して、言語としたのでしょう。
 電車は電気工学の546.5でしたが、車両・運輸工学の536.5になりました。これで鉄道車両を一括して536に分類することができるようになりました。
 道路標示は道路工学の514.29でしたが、道路標識と同じ交通法の681.2でも分類できるようになりました。道路標示の設計・施工は514.29、運用面は681.2の両方で分類できます。
【詳しい分類】
 図書の主題を新訂10版でかなり詳しく表せるようになりました。
 007.35は「情報産業、情報サービス」ですが、新訂10版では007.353「ソーシャルメディア」。007.37「情報セキュリティ」、007.375「不正操作」が追加されています。007.63「コンピュータシステム、ソフトウェア」、007.64「コンピュータプログラミング」も、システムやプログラムの種類により細かく分類できるようになりました。
 また、211~219の日本の地方史も、9版では地方分類だけでしたが、新訂10版では地方分類に補助記号を付けて時代区分ができるようになり便利になりました。

 このように新訂10版では、現代に合わせた用語や分類の変更・追加が見られますので分類付与がしやすくなると思います。また、分類項目が増えましたので、詳しく分類すればレファレンスツールとして、より活用できるようになります。ハンディな簡易版(本体価格3,000円)も刊行されていますので、検討してみてください。
→このページのトップへ
→「教えて先輩」トップへ



Q.gif 蔵書管理システムを導入。今までの分類でいい?
自治体で一斉に蔵書管理システムを導入します。今までの自校の分類記号のままでよいですか?

⇒ANSWER⇒⇒⇒
 自校だけでなく、自治体で一斉に蔵書管理システムの導入を進めることになった際、分類記号は統一され、ラベルを貼りかえることになるのではと心配になるのかもしれません。しかし、分類記号はそれぞれの学校図書館で、実状にあわせてよく考えて付されているのですから、地域で統一するものではありません。
 蔵書管理システムにデータを入力する際、書誌情報を読み込み、自校のデータを入力します。その時点で自校の分類記号を入力することができます。地域で相互貸借をする場合でも、各校で分類記号が違っていても、まったく問題なく利用できます。
→このページのトップへ
→「教えて先輩」トップへ



Q.gif 「日本十進分類法」の読み方は? 法?表?
読み方は「ニッポン」「ニホン」のどちら? そして「~分類表」とタイトルがついている掲示物を見かけますがどちらが正しいのですか?

⇒ANSWER ⇒⇒⇒
 「日本十進分類法」9版の表題紙の裏には「ニッポン ジッシン ブンルイホウ」と記されていましたが、(公社)日本図書館協会は、新訂10版刊行に際し、同協会刊行の「日本目録規則」等と同じ読みの「ニホン ジッシン ブンルイホウ」に変更しています。相関索引も「ニッポン」から「ニホン」に、そして210、910等の英文項目名は、Nippon からJapan に変更しています。詳細については「『日本十進分類法』新訂10版のあとさき」(藤倉恵一、『現代の図書館』53(1) 2015)が参考になります。
 英語名称が、「Nippon DecimalClassification(NDC)」と付された経緯については、原編者もり・きよし氏による記述、「NDC 誕生あれこれ」(『図書館雑誌』53(9) 1959)により窺い知ることができます。

 「日本十進分類表」というタイトルを付している掲示物を、時々見かけますが、日本図書館協会によると、「日本十進分類法」とすることを推奨しているとのことです。一覧表なので、「表」としたいということでしたら、2桁の表は「日本十進分類法 綱目表」と表記するとよいでしょう。
綱目表の掲示に加えて、小・中学校では、自館で使用する分類記号(3桁)の適用表をあらかじめ決めておき、類ごとに一覧表にして掲示するとよいと思います。子どもたちが分類記号を手がかりに、資料を探しやすくなるでしょう。
 このような適用表のことも含め、学校図書館の分類については『学校図書館のための図書の分類法』(芦谷清・著 全国SLA刊)が参考になります。
→このページのトップへ
→「教えて先輩」トップへ



このページのトップへ