図書は備品か消耗品か?

本を廃棄したいのだけど、本は備品だから教育委員会の許可が必要だよと言われた。
ねえ、本って備品なの? 備品って机、椅子やパソコン等だと思ってた。

うちの学校では、本は「消耗品」の扱いよ。みんながいっぱい読んだらボロボロになったりするし、時間がたつと書いてあることが古くなったりするから、すぐ処理できるように消耗品扱いと聞いてるわ。消耗品だと校長先生のOKで処分できるから。
くまちゃんの自治体って備品扱いなのね。ビックリだわ。

図書が備品扱いか消耗品扱いかは、自治体によって異なります。
全ての図書を備品にしている自治体は、廃棄する際は、廃棄リストを作成して校長に承認してもらい、教員委員会に提出してOKが出て初めて廃棄することができます。
消耗品扱いの場合は校長の承認を得るだけで廃棄できます。消耗品の場合でも、百科事典や美術全集など高価なもの(例えば1万円以上の図書)は備品としてあつかう、という規定があるところもあるようです。
また備品扱いだと、図書台帳が備品台帳となるので、学校によっては、図書館ではなく事務室で他の備品台帳と一緒に管理されているところもあるそうです。

へーそうなんだ。うちの学校も消耗品扱いになればいいのにな。どうしたらできるの?

教育委員会で決定すべき事項ですが、その担当部局へ個人が掛け合うのはなかなか難しいことです。地域の学校図書館担当者の組織を通じて、教育委員会の学校図書館担当部局に質問してもらったり要望書を出したりすることから始めるといいのではないでしょうか。 その場合は、ただ要望だけではなく、消耗品扱いにする必要性や、近隣で消耗品扱いにしている自治体の状況などの内容を添えましょう。

そういえば、備品台帳も昔からのがあるよ。
除籍したら、その台帳に消込を入れなくちゃならないんだって。作業時間もかかるし、誰がやるの?

パソコンの管理ソフトでの処理のほかに、その作業が必要なの? パソコンのデータがあるならそれが台帳じゃないかしら。AIの時代に冊子体の台帳に捉われているのって変よ。見直してもいいんじゃない?

図書を廃棄した場合、図書台帳、備品台帳に消込を入れるのは大変な作業です。データで蔵書を管理していれば、パソコン上の操作で消込作業も楽です。
学校によっては、パソコン導入後も冊子体の図書台帳が残っていて、消込をパソコン上でもやり、冊子体の台帳にも消込を入れているところがあるようですが、それは無駄な作業です。パソコンを導入したのならば、冊子体の図書台帳は廃棄するか使用凍結するかなど、勇気をもって検討したいものです。
図書館業務分担表があって、図書の管理は司書教諭の役割と明示されている場合は、消込作業は司書教諭の仕事という事になりますが、司書教諭、学校司書、学校図書館係の教諭などで話し合って、廃棄図書の扱いを共通認識しておきましょう。

ちゃんと考えて、ときにはやりかたを見直すことも必要だね。
もう一つ重要なこと!学校図書館図書標準の達成率を下げないために教育委員会が廃棄しちゃだめっていうんだ。

この問題が浮上したために、文部科学省の「学校図書館図書整備5か年計画」では2012年度から、図書標準の達成を目指すための増加冊数分と「更新冊数分」が地方財政措置されています。「更新」ですから、廃棄して買い換えることが想定されているのです。
古くても必要な本もありますが、ただ冊数を揃えるためだけに、古くて使えない本が置いてあるのでは困ったことです。使える本を精選して常に図書館をリフレッシュすることが、活用される図書館への第一歩です。廃棄すべき本はきちんと廃棄して、児童生徒が喜んで手に取りたくなるを本を揃えましょう。

一度に3000冊廃棄したという学校もあるよ。子どもたちのために魅力ある図書館を目指していこうね。



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