学校図書館充実運動

学校図書館法の改正運動

 学校図書館法は、創立間もない全国学校図書館協議会が、総力をあげて全国的に運動を繰り広げ、100万人の署名を集め、1953年(昭和28年)に議員立法により成立した法律です。この法律は、学校図書館だけの単独の法律としては、世界で初めての法律であり、多くの国々に影響を与えました。

 この法により、公立私立を問わず、小・中・高等学校・中等教育学校・特別支援学校には、学校図書館を設置すること、司書教諭を配置することなどが義務づけられました。このために現在の学校図書館の設置率は、ほぼ100%になっています。

 司書教諭は、法制定当時、司書教諭の有資格者が必要数養成されるまでの猶予期間として(ほぼ10年間を想定)、当分の間は司書教諭を配置しないことができるという猶予規定が附則に設けられました。しかし、この猶予規定のために司書教諭の配置がほとんど進みませんでした。

 全国学校図書館協議会は、1955年(昭和30年)の第6回全国学校図書館研究大会における法律改正の決議を受け、改正運動に取り組みました。各方面にはたらきかけ、1997年(平成9年)6月に議員立法により、学校図書館法が改正されました。

 改正された点は、次の2点です。
1 司書教諭の講習が大学以外の教育機関でも可能になる。
2 政令で定める規模(11学級)以下の学校を除き、2003年(平成15年)4月1日以降は司書教諭が必置になる。(11学級以下の学校においては、当分の間置かないことができる。)

 この改正により、12学級以上の学校には司書教諭がほぼ配置されましたが、全国学校図書館協議会が主張する司書教諭の全校配置が規定されず、学校司書についての規定は見送られていました。

学校司書は、全国の学校の半数近くには配置されていますが、法律上の位置付けがなく、長年の課題となっていました。そこで、全国学校図書館協議会では学校司書の法制化の運動に取り組んでいましたが、2014年(平成26年)6月に議員立法により学校図書館法が改正されました。これにより学校司書は法律に位置付けられることになりました。
 改正された点は、以下の通りです。

 1 学校に専ら学校図書館の職務に従事する学校司書を置くように努めなければならない。
 2 国、地方公共団体は、学校司書の資質向上を図るため、研修などの実施を行うよう努めなければならない。
 附則 国は、学校司書としての資格の在り方、養成の在り方等について検討、必要な措置を講ずる。

 この改正は、初めて学校司書が法律上に位置付けらる画期的なものですが、学校司書の配置は必置ではありません。

 このように、学校図書館法では、学校図書館の専門職員に対する規定が十分ではなく、さらなる法改正が必要となっています。

このページのトップへ